そもそもこの東京酒吐座は、2010年10月、東京・渋谷O-WESTにて彼自身の主催により行なわれた ササブチヒロシ生誕記念イベントで一度限りのライヴを披露するために召集されたバンドだった。 その演奏ぶりはごく短時間ながらも噂の種になるには充分過ぎるほどの衝撃度を伴っていたのだという。 そして結果、ゆきずりのバンドとして忘れ去られるはずだった東京酒吐座は、 噂や評判が独り歩きするなかで各方面からのオファーを受けながら、のらりくらりと存続。
改めて紹介しておくと、この東京酒吐座はササブチヒロシ(dr/ex-Plastic Tree)を中心軸としながら、 渡辺清美(gt,vo/殻、acid android)、Yuki(vo,gt/Presence of soul)、Yoshi(gt/Presence of soul)、 そしてthe k(ba/101A)という顔ぶれにより成り立っている。 その音楽性については、あれこれと説明するまでもなく、本作に収録されている全7曲の提示するサウンドスケープが 伝えてくれることだろう。たとえばそこで引き合いに出されるのは、MOGWAIかもしれないし、65daysofstaticかもしれない。 もしくはバンド名が示す通り、シューゲイザーという言葉で形容することがいちばん似つかわしいのかもしれない。 とはいえ彼らは偏狭なジャンルの世界に閉じ込められているわけではないし、自分の靴を見詰めながら演奏するばかりではなく、 実はしっかりと前を見据えているに違いない。